シン・エヴァンゲリオン劇場版を観た話

初めてエヴァンゲリオンを観たのは中学生の頃だった。

 

友達の家でハヤテのごとくを読んで、桂ヒナギクが好きになった。

夜中にこっそりテレビをつけて乃木坂春香の秘密を観て、乃木坂春香が好きになった。

GYAO涼宮ハルヒの憂鬱を観て、朝比奈みくるが好きになった。

 

順調にアニメを観るようになる中で、『新世紀エヴァンゲリオン』という作品があるのは知っていた。

当時中学生だった私は「昔の作品だけど、有名だし観てみるか」くらいの気持ちでなんとなく観た。

 

 

衝撃だった。めちゃくちゃハマった。

そしてこれまでが吹っ飛ぶくらい、アスカがめちゃくちゃ好きになった。

 

 

そのまま旧劇場版も観たけど、もう訳がわかんなくって、訳わかんないままアスカがどんどん好きになった。

 

新劇場版『序』は既に上映が終わってたのですぐにTSUTAYAに借りに行った。映像の綺麗さに度肝を抜かれてますますエヴァの深みに嵌っていった。

その時には既に「エヴァンゲリオンには一家言ありますよ」みたいな体でいたと思う。

 

『破』が公開されたけど、その時は映画館には行かずにTSUTAYAで借りられるまで待った。当時は一人で映画館に行けなかった。

本当にアスカが好きになった。

 

 

高校生になった。

『Q』が公開されて、友人と二人で映画館に観に行った。

帰りにラーメンを食べながらあのシーンはああだとか、あれはこういう意味だとか感想を言い合ったのが昨日のことのように思い出される。

 

 

大学生になった。

暇を持て余してアニメを観ては、Twitterに感想を書いたりした。

 

 

社会人になった。

前に観た好きなアニメを観返すことが増えた。

 

 

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の公開が決まった。

初日に観に行きたいな、と思っていた。あと本当に終わんのかな、とも。

コロナの影響で公開が延期になったけど、今さらどうってことはなかった。9年も待ったなどとよく言われるが、私には「もう9年経ったのか」という感慨があっただけだった。

レイトショーのチケットを予約して、仕事終わりに一人で観に行った。

 

シンジが14年眠っている間に、アスカは大人になってしまった。身体は子供のままだけど、髪は伸びるし心には14年の月日が流れる。

シンジを好きになるようにプログラムされていても、14年という月日はそのプログラムだけでは埋めるには長すぎる。

 

エヴァを初めて観てから12年経った。あの頃にアスカが好きだとプログラムされたんだと思う。

初めて観た時は子供だったけど、俺も大人になってしまった。

 

劇場を出た直後の、充実感と喪失感がない混ぜになった複雑な感情。ずっと待ってた大人のキスじゃん。

 

とかぼんやりとした頭で考えるうちに、エヴァンゲリオンという作品に本当に終止符が打たれたんだと腑に落ちた。

 

エヴァンゲリオンが好きだった。アスカが好きだった。これは本当の気持ちだ。

 

 

とてもいい映画だった。

ありがとう。さよなら、エヴァンゲリオン