福岡・佐賀旅行の話

人間は10%しか脳を使っていないという話がある。

 

人が普段使っているエネルギーは、おそらく10%くらいだ。

日常生活において、残りの90%は使わないままだと思う。10%で回し、淡々とこなす。
休日は一日中家にいても楽しいし、どうしようもない毎日を淡々と乗り切る中で生まれる尊さや、ある種の美しさも、普段の生活の中には存在すると思う。
だがふとその中で残りの90%のエネルギーが垣間見える瞬間はとても面白い。間違いなくそれはその人の魅力だ。
その90%はたまに動かしていないと身体の奥底に澱み、二度と使えなくなる気がする。
10%のおじさんになってしまうことが怖い。
魅力的になりたいとか、面白くなりたいとか、そういう話ではない。10%の世界から戻れなくなってしまうことがひどく恐ろしい。
動かせるエネルギーがどんどん小さくなっていることに自分自身で気付くことは本質的に不可能だ。
動かせるものは動かせるように抗いたい。

 

というテーマで九州旅行に行ってきました。
90%嘘です。旅行は最高。

 

僕は今まで九州に行ったことが無く、「九州初上陸を台無しにしたい」という思いがありました。
その旨をふじいりさん(@fuzuiR)に相談したところ、「金曜に有給を取るので、二泊三日で台無しな旅程を組みましょう」と乗ってくれた。
もう一人ほど九州台無しツアーに付き合ってくれる人を探していたら、「金曜の夜に仕事終わったら博多向かって合流します」と鰐人さん(@wani_jin)が釣れ、こういったメンバーになりました。なんだそのアカウント名。
近くにアホが2人もいてよかった。

 

 

〜旅行1日目〜

 

 

朝5時に起床。バカみたいな時間の飛行機を取ってしまったので、前泊した友人の家から始発で待ち合わせの梅田へ向かう。ふじいりさんを発見。

パスピエの最終電車を聴きながら来ました」

なんでだよ。歌詞に全く共感できない状況でやって来たふじいりさんと合流。台無しの予感に胸が踊る。


バスで関西空港へ向かい、そこからピーチ航空を使って福岡空港へ。ちょうどセールが開催されており、4000円くらいでチケットが取れた。安すぎる。墜落しても強く文句が言えない。

 

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強く文句が言えない飛行機。

 

搭乗してから滑走路までの移動が長く、「このまま陸路で行くかと思った」とか言い出すふじいりさん。悪い予感がする。

 

結果から言うとこの悪い予感は当たり、この旅行はこういう小ボケがずっと続くことになりました。離陸。

 

機長「ホニャホニャホニャ(なにやら英語)」
CA「ただいま機長が申しました通り〜」
僕ら「全然分からない」「詰んだ」

 

 

そうこうしてる間に着陸。初の九州上陸です。福岡空港は博多から近くてアクセスがめちゃめちゃよい。福岡空港は最高。関西空港は反省してほしい。


まずは本屋に行ってメモ帳を購入。旅行中に起きた色んなことを箇条書きで書き込んでいこうという寸法です。このレポもそのメモ帳を読みながら書いている。

以下、箇条書きはメモそのままです。

 

・味のタウン
味がすごいするタウン。

 

まずは博多駅の周辺でラーメンを食べました。ラーメンと焼き飯のセットが650円。

 

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うまい。

 

 

さて、やることが無くなった。

 

 

その日の宿は取ってあるんですけど、予定がまるで無い。何なら次の日の宿はまだ取っていない。
とりあえずレンタカー受け取りの13時まで時間をどう潰すか。

九州初上陸から2時間で時間を「潰す」と言ってしまった。何も考えずに街をぶらつく。

 

 

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草むらに打ち捨てられていた自転車。修羅の国、何があったんだ。

 

 

雨が降ってきたのでカラオケに入る。とてもいい感じで台無しになってきた。
小一時間歌ったら喉も枯れてレンタカーの時間になったので一石二鳥でした。電車に乗ってレンタカー屋へ。
そこで気になる車内広告を見つける。

 

 

・HONEワールド、全開。
「HONEワールドが全開になってるらしい」「行こう」

 

 

マリンワールドという水族館の広告に釣られ、レンタカーに乗って水族館へ。
道中、ほかにいい観光スポットが無いか調べる。

 

 

元寇資料館
元寇への理解を深めるいい機会」「修学旅行の感想文みたいだ」

 

ベストアメニティスタジアム
「えー、部屋にシャンプーが100個ある」「それはベストではないだろ」

 

 

などと言っていたらマリンワールドに到着。突然うずくまるふじいりさん。

「100点の家族しかいない!」

遊び疲れて寝てしまった男の子を抱きかかえて歩くお父さん。100点の家族にあてられて動けなくなってしまったふじいり。

 

 

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かと思ったらずんずん進んでいく。

 

 

 

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イルカショーの広場に辿り着き、男2人で肩を並べてホットコーヒーを飲みながらイルカショーを心の底から楽しむ。
なんだこれ。楽しい。

 

・幸福のダム
イルカを見て無邪気な笑顔の子供達、を見て笑顔になるイルカショーのお姉さん、を見て笑顔になる僕。
「幸福のダムだ」「笑顔の連鎖がここで終わっている」

 

イルカが尻尾でボールを強かに打ち観客席に飛ばす圧倒的な迫力に気圧され「我々は生かされているに過ぎない」という感想を言い合いながら念願のホネのコーナーへ。

 

 

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HONEワールド全開といった感じでした。



その後、ラッコが餌を食べ続ける様子を10分間くらい眺めたり、佐賀県の尖ったPR動画を見たりしました。
この尖ったPR動画というのが「正しい干潟の遊び方」というタイトルで、大人三人が干潟に肩まで浸かって泥まみれになる様子が無音のスライドショーで延々と流れるという悪夢みたいなもので、これを公式として打ち出してるのが本当に凄い。
他にも有明海のみに生息するワラスボをフィーチャーした映画風のPR動画など、とても面白い。

行政がいい県、佐賀県

 

 

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いい水族館でした。

 

 

マリンワールドを離れ、板付遺跡に移動。

「歴史に本当に興味が無い」と言うふじいりさんを無理矢理連れて行く。
歴史に興味が無さすぎて、城を見ても「攻めやすそう」か「攻めにくそう」の二種類の感想しか言わない人である。

僕もあまり興味は無いが、このままだとカラオケ行ってイルカ見ただけで終わってしまう。

 

到着すると、駐車場に車が一台もない。思わず笑顔がこぼれる。

 

 

建物の中に入ると、ガイドのおじさんと地元の子供達がいた。
ガイドの方はとても丁寧に遺跡のことを教えてくれ、「歴史に興味が無い」などとほざいていた自分を恥じる。地元の子供達が増えてる。
この建物はあくまで資料館で、遺跡は近くにあるそうだ。場所を案内してもらい、さらに増えてる子供達に見送られながらいざ遺跡へ。

 

 

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みんな大好き、楽しいムラ。

 

 

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入り口に佇む謎のオブジェ。

 

ん…?

 

あれ…?これってもしかして…!

 

 

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籾(もみ)のキューヨンだ!!(籾 1994 のこと)

 

 

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本当に楽しい。

 

 



全力で遺跡を楽しみました。

 

 

この調子で志免鉱業所竪坑櫓へ。しめこうぎょうしょたてこうやぐら、と読む。

旧日本海軍日本国有鉄道によって運営された「国営炭鉱」志免鉱業所の採炭夫を昇降させ、石炭を搬出するための施設である。

らしいです(Wikipediaより)。有名な廃墟らしく、ワクワクしながら車を走らせる。

 

到着。

 

 

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すごい工事してる。

 


近くでは子供達がめちゃめちゃサッカーをしている。廃墟とは趣の異なる異質さがありました。

 

ついでなので周りをぐるりと回る。

 

 

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垂直跳びの高さがわかるポールがあったので、

 

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垂直跳びをしました。

 

 

いい時間になってきたので宿に車を置き、博多駅周辺へ繰り出す。

焼肉屋に入り、お酒を飲みながらずっと肉を食べる。写真は無いです。

 

食べ終わって気持ちよくなっている中、そろそろ博多に着く鰐人さんを迎えに駅へ。

 

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無事合流し、宿に向かう途中で〆のラーメンを食べる。

 

 

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かなり美味しかったジェノバラーメン。

 

 

・バキバキに勃起したオーキド博士「これはエッチポケモンじゃな。サトシ、ありがとう」
「何を見せに行ってもそれしか言わないオーキド博士」「ありがとう、って言うあたり本当に感謝してるんだろうな」「この後使おうとしてる」「使うとか言うな」

 

 

酒とラーメンで楽しくなって博多を歩く最悪の三人。
宿に着いてテレビをつけると、「佐賀県で鎌のようなものを持った男が逃走中」というニュースが流れていた。

 

 

「明日はこの男を捕まえよう」
などと予定を立てながら、コンビニで買ったお酒を飲みながら就寝。

 

 

 

〜旅行2日目〜

 

 

さて、やることがない。

 

 

とりあえず宿の近くにあったパン屋で朝ごはんを買う。

 

 

・トイプードルのくしゃみを見る
一番いい朝。

 

 

パンを持って近くにあった海浜公園へ。

 

 

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海を見ながら並んでパンを食べる。図らずもいい朝になってしまった。

 

 

・突端のマリゾン
「あの建物、マリゾンというらしいですね」「あの突端の?」「突端のマリゾン」「ラノベのタイトルみたい」

 

・詩的な認知症
「あれ、今日って31日でしたっけ?」「31日はもう生きたでしょ」

 

 

朝ごはんを食べ終え、結婚式(マリゾンは式場だったらしい)の鐘と共に打ち上げられ空へ浮かんで飛んで行く風船の束を眺めながら、この旅行のメイン目的である佐賀に向かう。

 

 

道中、気になる施設を発見。

 

 

「この近くにフォレストアドベンチャーがあるらしいですよ」「なんだそれ」

 

フランス語で【La foret de l’aventure】。直訳すると【冒険の森】。
1997年にフランス・アヌシー郊外でアルタス社がはじめたアウトドアパークの名前です。

キャノピーコースでは、自分で器具を操作することなく安全確保ができるコンティニュービレイシステムを採用しています。

 

「行きません?」「行こう」「コンティニュービレイシステムって何だよ」

 

 

森の中に作られた広大なアスレチックのことらしい。
佐賀を一旦忘れて、フォレストアドベンチャーへ。コンティニュービレイシステムを体験すべく山道を登っていく。

 

僕「ジブリみたい」
ふじいり「獣道だな〜」
鰐人(運転)「これ本当に道合ってるか!?おい!!」

 

 

車を拒むような獣道を乗り越えて到着。受付を済ませて待つ。

 

 

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ウッドチップタワーではしゃぐ大人たち。

 

そうこうしてるうちにお兄さんに呼ばれ、金具を装着する。
いざ、コンティニュービレイシステム!

 

 

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悪戦苦闘する鰐人さんをゲラゲラ笑いながら撮る俺と、

 

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めちゃくちゃキモい登り方をするふじいりさん。人がどうしようもない姿がこんなに面白いとは。

 

 

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「助けられたくないキモいレスキュー隊」

 

 

 

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ついさっきまで縄に絡まっていたとは思えない雰囲気で麓を見下ろす2人。

 

 

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謎のオブジェを見て帰りました。

 

 

動き疲れたのでそのまま遅めの昼飯へ。

「九州で本当に行きたかった店があるんです」と二人を熱く説得し、向かった店。

 

 

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ドライブイン鳥!

 

 

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うまい!ゾンビランドサガ最高!

 

満足です。

 

 

気を取り直して佐賀観光へ。

 

・右折おじさん
「あっ次右折だよ」「さっきから右折の時しか言わないな」「右折おじさんじゃん」

 

右折おじさんは交差点の中心でグルグル回すとどっちが右折か分からなくなり、爆発する。

 

 

右折おじさんと共に古湯温泉へと向かう。
山間に開けた景色を眺めながら露天風呂に浸かり、フォレストアドベンチャーでかいた汗を流しました。
温泉は最高。関西空港は本当に反省してほしい。

 

風呂に入ってさっぱりした一行は、佐賀と言ったら吉野ヶ里遺跡へ。

 

 

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閉まってました。

 

 

歴史に未練が無いので、そのまま佐賀の地物が食べられる居酒屋へ。
車で来てるのでハンドルキーパーを一人決めるためのじゃんけん。

 

負ける。腹いせにノンアルコールのグレープフルーツを飲みながら食べ続ける。

 


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佐賀といえばイカの活作り。本当にうまい。

 

 

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「活」の部分は天ぷらにしてもらいました。

 

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インディーズの魚たち。メニュー表を見ても何が出てくるのか本当に分からない。

 

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これは「うみたけ」です。

 

 

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本当においしい。

 

 

・マヨ器
「ワラスボ、マヨネーズつけて食べるとマヨネーズの味になる」「マヨネーズを口に運ぶための道具」「マヨ器」「マヨ器て」

 

・シェフに電流が流れる物理的ないいね
「美味しすぎる」「シェフにいいねしたい」「いいねボタンを押すと、シェフに電流が流れる」

 

 

佐賀、いい県だな。としみじみ思いながら酒くさい二人をトランクに詰め込む。

 

宿に向かいがてらお酒を買い、飲みながら就寝。

 

 

〜旅行3日目〜

 

 


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パン屋で朝食を買う。この旅行、毎朝パン屋に行ってるな。

 

 

「ここから福岡空港方面に行く途中でパン食べながら楽しめるスポットないかな」「そんな都合のいい場所ありますかね」

 

 

 

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あった。

 

 

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飛行機の時間があるので、1レースだけしか見ることが出来ない。この1レースに全てを賭ける千円一発勝負。

 

 

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真剣にパドックを見つめる二人。

 

 

「名前が面白いからミナミタッチタッチ」「おれはユアネイム」

 

名前で選ぶのかよ。
俺は名前が面白かったのでハーフパンツを買いました。

 

 

いざ!!

 

 

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うおー!!!!

 


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いけー!!!!

 

 

 

ダメでした。さらば佐賀。

 

 

 

福岡に戻りレンタカーを返却したあと、九州最後の昼ごはんを食べる。

 

 

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天ぷらが無限に出てくる最高のお店。

 

・ありがとう定食
「こんなのありがとう定食じゃん」「ありがとう定食の大」

 

 

ビールを飲みながら旅の終わりを迎えました。

 

 

というわけで三日間の福岡・佐賀旅行、これにて終了です。
台無しツアーと言いながら、割と満喫してしまった。是非また台無しリベンジしに行きたいですね。

 

 

悔いが残るとすれば、佐賀で鎌のようなものを持った男を捕まえられなかったことなので、次に九州に行くときは捕まえたいと思います。

 

 

おわり