本屋と本能寺とあの夏

近くに本屋がない。

正確に言うと、大きい本屋がない。少しマイナーな漫画が買えないんですよね。好きな作家の新刊が出たという情報を知って、いやでもそんなに有名じゃないからな…と思いながら本屋に行って店員さんに訊くと大抵「当店では入荷してませんね」と返ってくる。山積みのワンピース、壁一面のこのマンガがすごい、今期アニメ化コミックス、買いたい漫画は入荷しない。

仕方なしと他の本屋に行っても同じ事が繰り返される。生身の人間がいくら集まってもゴジラには勝てないし、小さい本屋がいくら集まってもあまり有名じゃない漫画は売ってない。店員さんに「いやこの人の漫画ほんとに面白いんで、特集しましょう、kashmir先生フェアしましょう」とは言えない。

ので、こういう地域に住んでる人間にとってAmazonは本当にありがたい。

 

 

最近、電子書籍で本を買うようになった。

前までは「紙で読むからいいんですよ、あのページをめくって読む動作が…」などとアナログ至上主義な牙城を築いていたんですが、Kindleライトノベルセールで一撃で崩れました。本丸は大炎上、信長は自殺。

電子書籍はいいですね…本当にいい…。

 

 

 

ダンジョン飯、巷で話題になってますね。この人の漫画は本当に面白くて、まあ今回も面白いだろうな~とワクワクしながら本屋に買いに行ったら売り切れていた。助けてドラえもん…と泣いていたらKindle版があるぞ買えとの情報をTwitterで教えてもらった。ありがとうTwitterドラえもん

「流石に好きな漫画は紙で買いたい」という考えを持っていたんですが、今回晴れてそんな考えは沼へ沈んでいってやがて消えた。

 

そんな流れであっけなくKindle版ダンジョン飯を手に入れ、ちょうどいいタイミングでPC版のKindleも公開されたのでパソコンにダウンロードした。できなかった。

ダウンロードが全く終わらない。

 

 

ふと過去の記憶がフラッシュバックした。祖母の家、夏休み、僕は機械音痴の祖母に代わりにパソコンの前で説明書片手に奥の部屋で一人、AOLでダイヤルアップ接続をしていた。ピポパポポ…電話の音がパソコンから聞こえてきて「やばい誰かに電話をかけてしまった」と電話がめちゃめちゃ苦手だった僕は本当に焦った。画像一枚すら表示されるのに時間がかかり、上からゆっくり徐々にエロ画像が表示されていた時代。今みたいな掲示板総当たり方式では時間がかかりすぎる、サムネイルから狙いを絞り研ぎ澄まされた左クリックで獲物を仕留める、そんな狩人たちが蠢くインターネット。

 

時は現代、と我に返ってiPhoneテザリングしたら一瞬でダウンロードが終わりました。光回線ってなんなんだ。

ダンジョン飯はめちゃめちゃ面白かったです。マルシルのコロコロ変わる表情がかわいい。食うに困ったら魔物を食べよう。

 

 

ダンジョン飯を買いましたが、Kindleの中にはまだ読んでない漫画や小説が結構ある。電子書籍でも「積む」という表現をするんだろうか。昔は買ってきた漫画はその日のうちに読んでいた。と思う。誰にも見つからないように本屋に行き、ハヤテのごとく!の単行本を買い、家に帰ってドキドキしながらビニール開けて読んでいた僕はもういない。買ってきた成人コミックを積むようになってしまった。

 

 

嘘です、本当はちょっと読んでから積んでます。